私たちのホームページを見て、原村の土地探しで、「候補の土地を見て相談にのってください」と、連絡をいただいた。現地で見つけたのは三つの区画、選択に迷われていた、建築士の考えを聞きたいとのこと。私たちは、現地に向かい、率直な所感をお伝えしました。三つの土地をしばらく考えられ、「決めました!」と、土地の購入の契約前に、決めた土地の敷地事前調査の依頼を受け再び、現地へ向かいました。そこは諏訪郡原村です。敷地は一番小高い位置にある、ゆるやかな斜面地です。カラマツ林越しにアルプスの山並みの眺望が美しい場所でした。ここなら、風景を望むお家の計画できると直感、「広い敷地に好きな苗木を植え、小さな森ができそうで、好きな山歩きもできますね」と、敷地の空気、天候、陽の動き、風の流れを想像し、夏のさわやかさ楽しみと、冬の寒さに守られる家を計画イメージしたのです。
「どのようなお家ができますか?」と、、、いつかは、ここにお家をと思いつつも、建設予定は未定だったのです。この土地を決心されたお気持ちと、希望することのいくつかをお聞きしました。お話しを手掛かりにして、この場所の、この土地にイメージしたプランをわかりやすく、まとめて絵本にしてお渡しますと、、、再会を約束。
それから、計画したお家のスケッチを重ね、まとめた絵本を「原村に住む家」として、お渡ししました。絵本を手にして、うんうんと何度もうなづき、ニコッとして、絵本を胸に抱きしめられ、「いつか、きっと」と、またの再会できる日、楽しみにお別れしたのです。お仕事で韓国と日本を行ったり来たりの生活、その後、3年の年月が流れ、ある日、「また、ご相談にのっていただけますか?」と連絡をいただきました。この間のことをあれこれ、つもるお話し、この3年の間、「この絵本を何度も開け、心の励みにしてきました」と言っていただき、、、良かったと、あらためて思いました。「このプランで、、、お願いします、この絵本の中のおうちを、ずっと夢に見てきたのですから」と。私たちは、それからプランの詳細を水彩画で絵図面にし、暮らしの風景を鉛筆デッサンし、それを見ていただきました。細やかな打合わせを重ねてから、実施図面を描いたのです。私たちの建築設計は、手でイメージした場面を描くことからはじまります。出来上がった実施図面をもとに、信頼できる工務店さんに見積もり依頼し、クライアントとの工事契約に立ち会い、こうして「原村に住む家」の工事は始まったのです、、、毎月、現地でお会いし、お家が出来上がってゆく様子を楽しみつつ、、、打合せを重ねたのです。設計過程から工事、竣工までの動画をYou tubewで、ご覧ください。
「原村に住む小さなお家」 建築の絵本 さく・え 島いずみ
「原村に住む小さな家」
手仕事が織りなす簡素な家 季刊誌「住宅建築」より抜粋2025 no.513 10 特集 育まれる家「原村に住む小さい家」
私たちの「大きな森の小さなギャラリー」を東京から訪ねてくださったのは数年前のことです。暮らしに望んだことは、趣味である山歩きができる環境で、遊びにやってくる兄弟・姉・甥っ子と心地よく過ごせる場をつくり、草花や木々を育て、小さな森をつくることでした。しばらくして「いくつかの候補の土地を見てください」と連絡をもらい原村へ。こちらからのアドバイスをふまえ、少し急斜面ではあるけれど、遠くの山並みが望める敷地に決められました。暮らしのイメージを話し合い、そのかたちをスケッチにまとめ、絵本(作: 島いずみ)にしてお渡ししました。それをもとに原村に移住を決意されたのです。小さな家の計画は、サンルームの玄関で苗を育て、雪解けを待ちつつ、あたたかな居場所をつくること。夏は、そよぐ風が通り抜ける窓に、美しい風景を映す木製の窓をつくることでした。玄関からのステップを上ると、北にアルプスの山並みが広がります。暖かい薪ストーブのある居間へ進むと、長いくつろぎのベンチがあり、薪ストーブを中心に、ゆるく気配を繋げる居間と台所があります。小さな家は桁を低くおさえた家形の登り梁の、ひと繋がりの空間です。薪ストーブのあたたかさとともに半階(1.3m)ずつ上がると、それぞれの場所から、南北の山並みの変化と、こずえを身近に楽しめる計画となっています。居間から中2階へ、さらに半階上がり寝室へ。はしごで上がる小さな屋根裏部屋から南に八ヶ岳を北に白馬岳を望むことができます。この斜面地に建つ小さな家の魅力は、自然に沿う斜面の小道と、薪ストーブのあたたかさにそう内のステップが、山並みへの視線の変化を楽しめながら、テラスでまじわり、一順することです。そして山での暮らしの道具は、小ささの中に随所に工夫して収められています。原村に住む小さな家で構想したのは、大工棟梁、職人たちの手仕事が織りなす簡素な家です。すずやかな初夏の朝日にも、冬の夕日があたたかさにも、ゆっくり染まる山並みを映す一面の木製ガラス窓、漆喰壁と、染め布が、その光の美しさをつくり出します。それらがひとときを包み、暮らしのつむいでゆくのです。



















